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信用取引とレバレッジとは
通常の自己資金の範囲内で株を売買する「現物取引」に対して、証券会社から資金や株を借りて株を売買する投資のことを「信用取引」とは言う。
現在のルールでは、自己資金を担保として、担保の約3倍の取引が可能になっている。
このように、自己資金を担保として、それよりも大きな資金で取引することをレバレッジを効かして取引すると言う。
信用取引のメリット
自己資金の約3倍の取引が可能
信用取引にて、レバレッジを効かせることで、自己資金(≒担保となる委託保証金*1)の約3倍の金額で株式投資をすることが可能になる。
例えば、現物株で100万円分保有していた銘柄が10%値上がりした場合、利益は10万円になるが、信用取引でレバレッジを3倍効かし、300万円分の株式を保有していた場合は、30万円の利益となる。
例)10%値上がりした場合
現物 100万円×10%=10万円 信用 300万円×10%=30万円(利益も3倍) |
このように、同一銘柄に3倍の資金を投入することはもちろん、現物株では手の届かなったファーストリテイリングやファナックとった1単元が数百万円以上する大型株にも投資することが可能になる。
また、運用資金が少ない個人投資家も、全体の投下資金が増えるため、複数銘柄への分散投資も可能となり、投資リスクを分散できるというメリットがある。
※1 委託保証金とは、多くの証券会社で現物株の時価の80%に相当する評価が委託保証金として加算される。
空売りが可能になる
現物取引のみの場合は、株を「買う」ことしかできないが、信用取引では、「空売り」することが可能になる。
空売りとは
空売りとは、まだ買っていない株を売ることです。
現物取引では、「買い」から入り「売る」ことで取引は完結しますが、空売りは、「売り」から入り、「買い戻す」ことで取引を完結する。
2018年2月のように、株式市場全体が下落している時などは、「空売り」から入ることで、利益を得ることができる。
例)10%値下がりした場合
現物 100万円×-10%=-10万円 空売り 100万円×-10%=+10万円(下落しても利益がでる) |
空売りは、株式市場全体の下落局面のほかにも、特定の銘柄の不祥事や悪材料が出た場合の混乱に乗じて利益を得ることも戦略として可能です。
※ただし、証券会社によって、空売りできる銘柄は異なります。
信用取引の種類
信用取引には、制度信用と一般信用の2種類がある。それぞれ決済期限の有無、金利の違いなどがあるので確認しておこう。
制度信用 | 一般信用 | |
対象銘柄 | 東証が選定 | 証券会社が選定 |
買い | 全銘柄 | |
売り | 貸借銘柄のみ | 一部のみ可 |
返済期限 | 6か月 | 無制限 |
保証金維持率 | 20~30% | |
金利 | 買い2.8% 売り1.3% |
買い3.3% 売り1.9% |
逆日歩 | あり | なし |
IPO銘柄 | 東証選定後 | 上場初日から可 |
配当 | 買い・・配当金相当額がもらえる 売り・・配当金相当額を支払う |
制度信用と一般信用の違いは上記の通りだ。
大きな違いとして、制度信用取引には、決済期限が設けられている。また、制度信用は、一般信用に比べて金利が安い分、6か月という期間で反対売買を行い、決済しなければならない。
信用取引のリスク管理
信用取引でレバレッジを3倍効かした場合、株価が上昇したときは、現物のみで株取引する場合よりも、3倍の収益が得られますが、逆に株価が下落した場合は、3倍の損失になってしまいます。
このように損失が大きくなってしまい、自己資金が証券会社が設定している委託保証金維持率を下回ってしまうと、現金を預け入れるか建玉を決済しなければなりません。
これを「追証」といいます。
追証を支払うことができなければ、不本意な形で建玉を強制決済されてしま
います。いわゆる「退場」です。
例えば、100万円の委託保証金を預けて、3300円の銘柄を1000株買った=330万円分のポジションを建てたとします。
その後、株価が急落し2960円に下落すると、340円×1000株=34万円の損失が発生します。 すると、委託保証金は100万円-34万円=66万 委託保証金維持率※1は、66万円/330万円=20%まで低下してしまいます。すなわち、3倍のレバレッジを効かせた場合、建玉が10%程度下落しただけで追証が発生してしまいます。ストップ安で一発追証です。 |
レバレッジ3倍は、きわめてRiskの高い取引ですので、初心者はやめておくべきでしょう。
ちなみに、レバレッジ2倍で30%の下落まで委託保証金維持率に耐えることができますので、このあたりが、現実的な運用ラインになってくると思います。
※1 委託保証金維持率=委託保証金/当初の建代金
まとめ
このように、信用取引をする前に仕組みを理解していないと、建玉が強制決済されてしまい、退場になることもあります。
信用取引をする場合は、保証金維持率に注意して、計画的に投資し、余裕資金で運用するようにしましょう。